園活MAGAZINE

子育ての悩み

子どもが友達を叩く・押す|保育園での対応と家庭の声かけ

「今日、お友達を押してしまって……」
連絡帳やお迎えのときにそう聞くと、親はドキッとしますよね。

「うちの子、乱暴なのかな」
「家での関わり方が悪いのかな」
「相手の子に申し訳ない……」
そんなふうに、一気に不安になる方は本当に多いんです。

でも、幼児期の“叩く・押す”は、すぐに性格の問題と決めつけられるものではないんですよね。まだ言葉でうまく気持ちを伝えられなかったり、順番を待つのが難しかったり、不安や悔しさが先に体に出てしまうこともあります。この時期の子どもは「遊びを邪魔されるのでは」という不安から、叩く・押すなど手が出ることがあるんです。

この記事では、子どもが友達を叩いたり押したりしてしまう理由、保育園での対応、家庭での声かけ、そして「どこまで様子見でいい?」の目安まで、保育教諭としての現場感と、3児の母としての本音も交えながら、整理していきますね。

目次
  1. 子どもが友達を叩く・押すのはなぜ?
  2. よくあるきっかけはこの3つ
  3. 保育園ではどう対応している?
  4. 家庭での声かけはどうする? 
  5. 逆効果になりやすいNG対応
  6. 相談したほうがいいサイン 
  7. 【まとめ】
  8. 【編集部より:アボ隊長のコメント】

子どもが友達を叩く・押すのはなぜ?

子どもが叩いたり押したりすると、 大人は「ダメなこと」とすぐ感じますよね。
もちろん、 相手を傷つける行動は止める必要があります。
でも、 子ども自身は 「困った」 「取られそう」 「嫌だった」 「どうしていいかわからない」 そんな気持ちでいっぱいなことが多いんです。
特に小さいうちは、 気持ちを言葉にする力がまだ育ち途中です。
だから、 口で言えないぶん、 手が先に動いてしまうことがあります。
アボ隊長も保育現場で、 先に手が出る子をたくさん見てきました。
でも実際は、 乱暴な子というより、 不器用なだけの子が多かったんです。
「貸して」がまだ難しい。 「嫌だ」が間に合わない。 そんな子ほど、 動きで気持ちが出やすいんですよね。

アボ隊長の実体験

保育現場で見ていても、「叩いた子」って、実はすごく困っていることが多かったです。
まだ言葉でうまく言えなくて、どうしたらいいかわからず手が出る。だから私は、行動だけを見て怒るより、「その前に何があった?」をまず見るようにしていました。

よくあるきっかけはこの3つ

  • 一つ目は、おもちゃの取り合いです。
    まだ遊んでいたのに、横から触られた。
    貸してほしいけど言えない。
    取られる気がして焦る。
    こういう場面はとても多いです。
  • 二つ目は、順番が待てないときです。
    すべり台、人気のおもちゃ、先生との関わり。
    「今すぐやりたい」の気持ちが強いと、待つこと自体が苦しくなるんですよね。
  • 三つ目は、疲れや眠さで気持ちがあふれているときです。
    眠い。お腹がすいた。うまくいかない。
    そんな日は、大人でも余裕がなくなりますよね。
    子どもならなおさらです。

つまり、叩く・押すは、その子の性格だけで起きるわけではなく、場面やタイミングにも大きく左右されるんです。

アボ隊長の本音
親の立場だと、「どうしてうちの子が……」ってすごく落ち込みますよね。
でも実際は、疲れている日、気持ちが崩れている日ほど出やすいです。
だから私は、行動だけじゃなくて、“その日のコンディション”もかなり大事だと思っています。

保育園ではどう対応している?

保育園でまず優先するのは、安全を守ることです。相手の子がこれ以上傷つかないようにする。その場をいったん止める。これは最優先です。

でも、そのあとがとても大事なんですよね。ただ「ダメ!」で終わらせるのではなく、子どもの気持ちを整理する関わりをしていきます。たとえば、「まだ使いたかったんだね」「嫌だったんだね」「びっくりしたね」と、まず気持ちを短く言葉にします。

そのうえで、「押すんじゃなくて、“まだ”って言おうね」「困ったら先生を呼ぼうね」「“かして”って言ってみようか」と、次の行動を具体的に伝えます。相手の子にも、「痛かったね」「びっくりしたね」と気持ちを受け止めます。

大人が間に入って、叩いた子だけを責めるのではなく、両方の気持ちを整理していくイメージです。

アボ隊長の実体験
現場では、長い説明より短い言葉のほうが届きます。子どもが興奮しているときって、本当に長い話は入らないんです。まず止める。落ち着かせる。短く伝える。この順番がすごく大事でした。

家庭での声かけはどうする? 

園でトラブルがあったと聞くと、家でしっかり言わなきゃと思いますよね。もちろん、叩いたり押したりしていいわけではありません。でも、責めることだけで終わると、子どもは「怒られた」で止まってしまうことがあります。

家庭では、次の順番を意識すると伝わりやすいです。まずは、気持ちを受け止めること。「嫌だったんだね」「使いたかったんだね」「取られそうでいやだったんだね」と、気持ちを言葉にしてあげます。

次に、行動は止めます。「でも叩くのはダメだよ」「押したら相手が痛いよ」と、してはいけないことはきちんと伝えます。

最後に、次の伝え方を教えます。「“かして”って言おうね」「“いや”って言っていいよ」「困ったら先生を呼ぼうね」。この流れだと、ただ叱るより「じゃあ次どうするか」が残りやすいんですよね。

アボ隊長の本音
私も親としては、正直すぐ冷静にはなれませんでした。外でトラブルがあると、恥ずかしいし、申し訳ないし、焦るんです。でも、感情のまま強く言ったあとって、親子でどっと疲れるんですよね。だからこそ、まずは短く、あとから繰り返し伝えるほうが、結局うまくいくことが多かったです。

逆効果になりやすいNG対応

よかれと思っていても、逆効果になりやすい関わりがあります。

まず、みんなの前で強く叱りすぎること。恥ずかしさが先に立ってしまって、内容が入らないことがあります。次に、「乱暴な子」「ダメな子」と決めつけること。行動ではなく人格として受け取ってしまうと、子どももしんどくなります。

そして、何度も蒸し返すこと。その場で整理できたことを、家に帰ってからも繰り返し責め続けると、ただ苦しい記憶だけが残ってしまうことがあります。また、すぐに謝らせることだけを目標にするのも注意です。まだ気持ちが整理できていないと、形だけの「ごめんなさい」になってしまうこともあります。

大事なのは、止めること、相手の気持ちに気づけるようにすること、そして次のやり方を教えることです。

アボ隊長の実体験
若いころの私は、「その場でちゃんとわからせなきゃ」と思いすぎていました。でも経験を重ねるほど、子どもって責められて変わるより、具体的に教えてもらって変わることのほうが多いと感じるようになりました。

相談したほうがいいサイン 

叩く・押すは、幼児期によく見られることもあります。だから、一度あっただけで過度に心配しすぎなくて大丈夫なことも多いです。

ただ、気になる様子が重なるときは、相談してみるのがおすすめです。たとえば、頻度がかなり多い、年齢が上がっても強さが増している、園でも家でも繰り返す、言葉でのやりとりがかなり難しい、気持ちの切り替えがとても苦手、相手の痛みや困り感に気づきにくい様子が続く。そんな場合は、関わり方を一緒に整理してもらうとラクになることがあります。

相談は、「問題がある子だから行く」ものではありません。親が困っているときに、整理するために使っていいものなんですよね。

アボ隊長の本音
相談って、ハードルが高く感じますよね。でも、私は「困りごとを小さいうちに言葉にする場所」だと思っています。早めに話せると、親の気持ちもかなり軽くなることがあります。一人で抱え込まないでほしいなと、心から思います。

【まとめ】

子どもが友達を叩いたり押したりすると、親としてはとてもつらいですよね。でも、その行動の奥には、「嫌だった」「困った」「言えなかった」という気持ちが隠れていることが少なくありません。だからこそ、行動だけを見て強く責めるのではなく、何があったのかを見て、どう伝えればよかったかを少しずつ教えていくことが大切なんです。

相手を傷つける行動は止める。でも、子どもまで悪い子だと決めつけない。その線引きが本当に大事なんですよね。叩く・押すは、関わり方がそろってくると少しずつ変わっていくことがあります。もし気になるサインが重なるなら、早めに相談して大丈夫です。親だけで抱え込まず、その子に合う関わり方を一緒に見つけていけたら十分なんです。

【編集部より:アボ隊長のコメント】

子どもが友達を叩いたり押したりしたと聞くと、親のほうがかなり傷つきますよね。申し訳なさもあるし、恥ずかしさもあるし、「ちゃんと育てられてないのかな」と不安になることもあると思います。私もそうでした。

でも、保育現場でも子育てでも感じるのは、そういう子って、ただ乱暴なわけじゃなくて、うまく気持ちを出せずに困っていることが本当に多いということです。もちろん止めることは大事です。そこはぶれずに必要です。でもそのあとに、「嫌だったんだね」「どうしたかった?」「次はこう言ってみようか」と関われると、子どもは少しずつ変わっていくんですよね。

今つらい方ほど、自分まで責めすぎないでほしいなと思います。親子だけで抱えず、園の先生とも一緒に、少しずつ整えていけたら大丈夫です。


執筆:アボ隊長(園活ナビMAGAZINE 編集部・保育教諭・3児の母(子育て歴20年))

※本記事は一般的な育児情報の提供を目的としており、医療アドバイスではありません。お子さんの状態が心配な場合は、かかりつけの小児科医にご相談ください。

【相談窓口】

  • かかりつけの小児科
    叩く・押す行動に加えて、言葉の発達や気持ちの切り替え、落ち着きのなさなども含めて気になることがあるときに。
  • 園の担任・主任
    園での様子や、どんな場面で起こりやすいか、家庭と園で関わり方をそろえたいときに。
  • 市区町村の保健センター/こども家庭センター
    発達や子育て全般について相談したいときに。地域で使える支援先を知りたいときにも。
  • 児童発達支援センター・自治体の発達相談窓口
    繰り返しトラブルが続くときや、継続して発達面の相談をしたいときに。専門職につながって関わり方を整理したい場合に。

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